2014年7月19日土曜日

[p. 76] 超過需要があるときに、価格に上昇圧力が働く

第4章の75ページから76ページでは、超過需要と超過供給について説明しました。価格がとても低いときには、需要量は多く供給量は少なくなるため、超過需要になる、また価格がとても高いときには、需要量は少なく供給量は多くなるため、超過供給になるのでしたね。

さて、以下では次の図のように、価格が低いために超過需要が発生している状況について考えてみましょう。

教科書では「超過需要の場合には、価格を上昇させる圧力が働く」ということが、次のように説明されていました。

なぜなら、そのような安い価格ならば「ぜひ買いたい!」と考えているのに買えないでいる消費者は、生産者に対して「もう少し高くても良いので,他の人ではなく自分に売ってほしい」という相談を持ちかけるでしょうし、売り手側も値上げを提案することが考えられるからです。

価格が上昇することは、消費者にとって不幸なこと?


ここで皆さんは疑問に思うかもしれません。消費者にとっては、価格が上昇することは「交換の利益」を減らしてしまうため、望ましくないのではないでしょうか?

価格が上昇することは、確かに消費者にとって不幸なことです。しかしそれは、注目している財・サービスを低い価格でも運良く買えていた消費者にとっては、価格の上昇により損することになるという意味である点に注意しましょう。

思い出して欲しいのは、超過需要があるときには、限られた量の財・サービスを多くの消費者たちが奪い合っている状態だということです。そして仮に現在の低い価格の下で、買いたいと考えている消費者たちの間で、実際に買える人がランダムに選ばれるとすると、その財・サービスを相対的に高く評価している人が結果として買えない可能性があります。これは「交換の利益を最大限に実現させる」という目的からは、もったいないことです。

このように考えると、超過需要のときに価格を上昇させる圧力が働くことは、一見すると消費者にとっては不幸なことのように思われるかもしれませんが、注目している財・サービスに対して高い価値を見いだしている消費者にとっては、確実にその財・サービスを入手できるようになるという面でメリットがあり、また社会全体の視点からも総余剰を増加させることからメリットがあると考えることができるのです。

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